本殿の意匠

寺

宮大工の真骨頂

神社建築と言っても一重にこれという風に定義することの出来ないものだというのを理解してもらえただろうか。こうした違いを生み出したのも人間であり、今でいうところの宮大工の技術による賜だ。拝殿にしてもそうだが、神社建築においては特に本殿への意匠にはこだわりというこだわりを遺憾なく発揮している。そのため、拝殿にはないデザインもあるため、それを見たいがために本殿の様子を何とかみようと試みようとする人もいるかもしれないだろう。逆に怪しい人と思われるかもしれないが、さすがに内部への不法侵入は犯罪になってしまうが、外観だけのフォルムであればみようと思えば見れなくもないだろう。ただそれもあくまで一般常識的な行動範囲として行わなければ、ただの迷惑行為となってしまうのでご注意を。

宮大工によって伝播される技術はこうした本殿における意匠、特に『千木』と『堅魚木』と言われる屋根におけるデザインとして一番の見どころであり、芸術的な観点から一番目を離せないものとして扱われているものでもある。屋根にあるため中々はっきりと目にすることはないが、そこに込められた技術者としての真髄は長い時間を掛けて考えだされた技術の粋と言えるものだ。

寺院建築も見どころは沢山あるが、古来より日本に存在する神社だからこその歴史て技術の継承によってしか制作することの出来ないものも宮大工として受け継ぐために必要なものとなっている。そんな本殿に施された意匠について、もう少し詳細に見てみよう。

意匠の種類

本殿へと利用されている意匠はいくつか存在している、先に話した千木や堅魚木はもちろん、その他にも千鳥破風や唐破風といったものなどもある。具体的にどんなものなのか、個別に紹介していこう。

千木とは

まずは千木についてだが、これは本殿の象徴的なシルエットとも言われており、その特徴として交差する二本の木を屋根の上に置いたものとなっている。こう言ってしまうとわかりづらいと思うので、具体的な用例として出すなら、戦国時代などで活躍していた武将たちの兜を思い出すといいかもしれない。兜には各々特徴的なシルエットが採用されており、神社の千木ももちろん完全にとはいかないが、シンボルと考えてくれれば良い。起源こそ定かではないが、神社のこうした象徴を真似してというふうに考えるとそういう視点から分析してみたい事案も出て来る。

主なデザインとしては、上端をほぼ垂直に切るのが通例となっており、たまに水平に切ることもあるので、ここも神社ごとに違いという違いが出て来る。

堅魚木とは

次に千木と同じように屋根に設置されているもので、大棟上に並べられた横木の物を『堅魚木』という。元々は千木にしても、堅魚木にしても本殿という建物の強度を補強するために用いられていた技術だったが、時代の変遷とともに意匠というものへと変化していった。堅魚木もまたそうで、千木とセットで建築されている事がある。

千鳥破風って

意匠という話に続くが、次に神社本殿で採用されている意匠の代表として『千鳥破風』というものがある。これは屋根正面に付けられた三角形をした出窓の形状をした飾りとなっているが、今ではそこまで見かけるものでもないかもしれない。起源は春日造本殿を複数棟連ねた本殿形式から誕生したと考えられており、身舎正面の破風が千鳥破風の原点と言われている。

非常に斬新な作りとなっているが、こうした建築をした住宅などもたまに見かけるなど、何処と無く現代に通じるような部分もあると考えられる。

唐破風とは

最後に、これは神社は勿論、その他日本式の城にも採用されている意匠であり、軒先が上に丸く曲線を描いている物が採用されている『唐破風』というものがある。これは主に向拝に用いられているもので、神社へとその技術が用いられるようになったのが鎌倉時代とほぼ起源そのものから導入されている意匠とも言われている。その後安土桃山時代において千鳥破風とのセットで多用されることも多く、その時代における特徴的な神社の建築様式として扱われていた。

必ず見たことがある

上記に紹介した意匠は意識的にしろ無意識的にしろ、必ず見たことがある意匠だというのも一番印象的といえる。そのため、一度でも大きな神社に訪れた際にはその目に見ていているので、今度からはこんな部分も鑑賞してみると、また違った神社の魅力と技術という作りこみが感じられるので、そんなところも感じ取ってもらいたいところだ。

こうした技術は宮大工といっても容易ではない、基本的に宮大工として認められるだけでも相当大変な道のりとなっており、例え継承することが認められてもその後の技術を体得するためには相応の次官を要するからだ。そういう意味では宮大工というものがこうした物を作れるという点を取っても、建築業界という全体の中で異色の存在だと言っても過言ではない側面があるのも納得できるだろう。

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